2019-07-10 14:27

メディアはどこへ向かうのか? - Day 3 -

瀬尾 傑 メディア研究所所長, 株式会社スマートニュース
浜田 敬子 統括編集長 / 前編集長, Business Insider Japan / AERA
関口 和一 編集委員, 日本経済新聞社
ローブリー ロス 代表取締役社長, エデルマン・ジャパン

New York Times「5年以内にアメリカのすべての地方紙がなくなってしまう」っていう発言。
ウォーレン・バフェット「アメリカの新聞は3紙くらいになるだろう」
日本の新聞も1000万部くらいここ10年で減ってる。
メディアの信頼度50%くらい

Q. 5年後のメディアはどうなる?
瀬尾:
Buzfeedやハフィントンポストなど
希望が見えたかと言うとそうではなかった。新しいメディアはできたけど新しいジャーナリズムを生んだかというとそうでもなかった。新しい力を生んだかというとそうでもない。表現スタイルはそれまでの新聞や雑誌と変わらなかった。ここ5年でジャーナリズムは停滞したと思っている。

NewsPicksがクォーツを買収したり、日経がFTを買収したり、日本のメディアが海外に出るようになった。スマニューもアメリカで成功している。
従来のジャーナリズムじゃない人が入ってきてる。NewsPicksもそうだった。
今後期待するのは、新規参入の方が新しい動きを作っていってほしい。伝え方だけじゃなくて、新しいジャーナリズムを期待している。

一方で、心配しているのは、米中対立などによりインターネットが分断されようとしている。プラットフォーム規制、法的権力による規制が広まっていくとネット全体メディア全体に及んでくる可能性がある。分断されたネット、規制されたネット。メディアはそこにどう立ち向かえばいいのかっていう5年間になるのか。

関口:
スマホの登場。2007年(日本では2008年)からわずか10年間で変わった。
インフラの行動の変化。

次は、5G。LTEの100倍。10Gbps。同時接続。低周波。
動画配信のツールとして爆発的な影響があるのでは。2時間の動画を数秒でDLできる。
今までは大容量の動画は放送局が必要だったけど、今後は必要なくなるかも。

ジャーナリズムの担い手としてのメディアは今後も必要。他のメディアを使ってでも必要。

これからはTrustが必要。フェイクニュース問題、選挙への影響など。信頼できるものを伝えるものがメディアとして成功していく。

情報源としては、日本では検索エンジンが最も信頼されている。検索して自分で確かめたい。
トラディショナルメディアの信頼度もフェイクニュースの影響で上がってきたが、今年また数値が下がってきている。ソーシャルメディアは信頼度が低い。

Q. ジャーナリズムがライブで配信するっていうのは出てくる?
出てくるだろう。すでにやっている人もいる。
ライブはリアルタイムだから深くその場で考えて伝えるっていうことができない。その場の状況を伝えるってことはできる。

浜田:
楽観論と悲観論。
新しいジャーナリズムの手法は開拓できていないけど、新しい読者は開拓できたという自信ある。

アエラは昔大学生が読んでいた。その世代が40代後半くらいになってきている。若い人は硬いニュースを読まないのではないか?っていう仮設。

パナソニックがファーウェイとの取引を中止したっていうニュースが中国でバズった。緊急声明出したくらい。そのニュースがスマニューでも読まれている。3分の2がミレニアル世代。そのうちの大半が女性。

取材先が変わってきている。ファーウェイのトップに取材に行けた、トラディショナルメディアとネットメディアではNewsPicksとBIだけだった。
2年前はメガバンクの取材とかできなかった。ちゃんとしたコンテンツを出していけば、読者も得られたし取材先も獲得できた。

レガシーメディアに頑張ってほしい。彼らのコンテンツにはかなわない部分ある。
日経や朝日などはある意味装置産業。全国に支局がある。どうやって活かすか。
朝日の売上は毎年100億円くらい下がってる。朝日も多角化している。バーティカルメディアなど新しい分野が赤字。だから本業に集中しようっていう声もある。

レガシーメディアからいろんな人が外に出てきているが、出戻りはいない。
実は、それに抵抗しているのは組合なんですよっていうことを言われた。若い人が自分の上にぽっと出てくるのが嫌。ダイナミックに人材が流動しないとダメ、そうすれば面白いことができる。

Q. マスメディアには限界ある?
浜田:
大きな視点のメディアは必要。朝日が読者ターゲットをマスにしているかって言われると、そうではなく知らず知らずのうちに高齢者にターゲットしているのではいか、ターゲットメディアになっているのでは。もっと広いターゲットを狙ったものを作っていかないと。

瀬尾:
TVは影響力ある。TV広告ってもっと高く売れるのではって思ってる。視聴率に基づいて売ってるから視聴率競争で安く売っちゃってる。

地方局でCM試してみる。そうするとリアルに効果がわかる。どんな時間がいいかとか、どのタレントがいいかとか分かってる。効果が高いものを全国局に使うなど。深夜帯でもこのタレント使っていれば売れるとか。効果計測使っていけばそういうことができる。今の視聴率の売り方だとダメ、もっとデータを使っていった売り方ができればいいと思う。

新聞は紙の新聞はもうダメかな。若い世代も数%しか取ってない。彼らが50代になって急に日経を読むかって言われたらそうじゃないと思う。その数%もお父さんが取ってますっていうのも含めてその数字。

浜田:
朝日とか日経のニュースを読んでないかって言われるとそうじゃない。Lineニュースとかスマニューとかヤフーニュースとかを通じて読んでいる。
役割が大きいのはプラットフォーム。彼らが新聞社にちゃんとお金を還元する。あまりにもメディアとプラットフォームの関係が対等じゃないと思う。日経はそういったところには出さないっていう主義、それはそれであり。

関口:
ファンクションとしてのマスメディアは残っていかないといけない。
見せ方は変わっていくだろう。紙を家に配ってっていうのはなくなるだろう。

ローブリー:
日本人は世界で最も大もとを気にしない。朝日の記事なのか誰の記事なのかっていうのを気にしない。それはどうなのか。

Q. フェイクニュースの対策。信頼度を上げていくにはどうすればいいか?
浜田:
レガシーメディアにいるとフェイクニュースのことは気にしない、ちゃんと取材して記事にしているから。裏取りをちゃんとしている。メディアをやっている人たちが自分たちのところにフェイクニュースが入るっていうのは違和感ある、ありえない。それが載るのはプラットフォームの側。プラットフォーム側にメディアのニュースとフェイクニュースをちゃんと区別してくださいっていう気持ち。

プラットフォームが強い。アメリカはほとんどがFBとTWで読まれている。日本はLineやヤフーが多くFBはあまり多くない。

瀬尾:
政治的な意図で使われているのではないか、人間がコントロールされているんではないか。
スマニュー、アメリカで伸びてる。ヤフーを抜いて10位に入ってきている。

アメリカでのCMは日本のと全く違う。男女のカップル(トランプ的なマッチョな男とオバマ的な女性)が夫婦喧嘩している、スマニューを見るとファクトがわかるっていう感じのCM。アメリカではメディアが世の中を破壊しているんじゃないかっていう懸念がある。だからFB離れが進んでいるし、スマニューへの注目度が上がってきている。

メディアの社会的責任は重い。努力しないとメディアは良くなっていかない。

だが、クライアントの責任も大きいと思っている。よく見られるからという理由で広告を出している。この前の川崎の事件でも、加害者はバスの騒音に対して怒っていたんだって言うデタラメ記事を書いているメディアあった、憶測記事。けど、そこに一流企業の広告出ていた。アクセンチュア。ブランド毀損になるのではないか?自分の広告がどう使われているのかについてはちゃんと意識しないとダメだと思う。読者の顔を一人ひとり見ていく意識をしていかないと。

Q. 地方メディアについて
浜田:
地方メディアは生き残れる。全国紙よりも生き残る方法があるきがする。
悩みは、人材をどう獲得するか。メディア希望者も減ってるし、地方でっていうのはいない。

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