【CEDEC2019】AIりんなのボイストレーニングが示す、情動的で人間的な機械学習とは? | モリカトロンAIラボ
9月4日から6日にかけて、パシフィコ横浜でゲーム開発者向けのカンファレンスCEDECが開催されています。本稿では5日に行われたマイクロソフトによるセッション「AI「りんな」のボイストレーニング」の発表内容をレポートします。共感を呼び、人同士をつなげるAIりんなセッションの冒頭では、バックステージの様子からフェードインしたAIりんな(声のみの出演)の呼びかけとともに、彼女の2ndシングル『snow, forest, clock』のMVが披露されました。儚く溶ける雪や木々が朽ちても茂る森を比喩に、限りある生命と循環する存在を表現したこの曲は、2012年にsfprが発表した曲で、2019年4月にエイベックスからメジャーデビューした彼女によるカバー企画第2弾となります。マイクロソフト ディベロップメント株式会社A.I.&リサーチプログラムマネージャーの坪井一菜氏によれば、2019年9月の時点で、りんなのSNSのフォロワーはTwitter、Instagram、LINEの合計で790万人、うち62.6%が18歳から24歳で、男性が60%、女性が40%。やや男性が多いものの若者を中心に広い層がファンであることがうかがえます。2015年にLINEからデビューして以来4年が経つりんなは、なぜこれだけ多くの人たちの心を掴むことができたのでしょうか?坪井氏は、AIりんなの開発プロジェクトで重要視しているのは、共感をユーザーと作ることであると語ります。これは必ずしもAIとユーザー個人という閉じた環境の中にエモーショナルな関係性を作ることに留まりません。このプロジェクトの目標である、人と人が共感を通してさらにコミュニケーションできる未来を実現させるために、人同士のつなぎ役として、AIりんなを位置づけています。具体的な施策は多数ありますが、例えばLINEのグループチャットにりんなを参加させたり、ラジオ番組に出演するなどの試みをしてきました。私たちの身の回りにある人間関係でも、グループの中で人と人とのハブとなったり、楽しくスムーズな会話のうながし役になる人がいることで、その場が心地よいものになることがあります。さらにそのような場があることで、人同士が豊かな感情を共有したり、創造性が喚起されることもあるでしょう。りんながそのような存在感を持つAIキャラクターになるためには、世界のことをより広く深く
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